「デモ」ってなに?!「脱原発」ってカッコイイの?!
日本各地を駆け巡った“脱原発デモ”。はじまりは、ひとりの女子高生の思いつきからだった...。準備はたったの1週間、呼びかけはブログとツイッター。2011年3月27日、東日本大震災以降初の“脱原発デモ”は約300人を路上に集め、その後に全国で巻き起こる原発反対運動の口火を切った。
福島から妻子を連れて避難を続ける元教師、上関原発建設に断固反対する21世紀ヒッピー、それぞれの音を奏でる路上のミュージシャン。次々と現れるちょっぴり“ヘン”なキャラクターたち。名古屋から、東京、大阪、広島へと。各地のデモを通し-て見えてくる、「日常」を生きる若者の本音や葛藤...。
あの熱気に満ちた“脱原発デモ”とは何なのか。若者たちは何を守るために訴えているのか。彼らはどこから来てどこへ向かうのか。“脱原発”の裏側を舞台に、若き逆輸入監督がこれからの生き方、在り方を問いかける。福島第一原発事故から浜岡原-発停止まで、ただちに声を上げることを選んだ者たちの交差する44日間を紡いだ、NONSTOP群像ドキュメンタリー映画が誕生した!
18歳の少女が浜岡原発の停止を求めてデモを主催することを知った時、僕はその場へ向かい撮影をすることを迷いなく決めていた。あらかじめ用意したメッセージを伝えるための映画を作る気のない僕がこの問題を扱うことにリスクが伴うのは目に見えていた。でも、悩む時間はなかった。遠いどこかじゃなく今の自分に突きつけられた現実、できることを全力でやるのみだった。余震は続き、情報は溢れ、混沌とする状況の中で自問自答を繰り返しながらも、ありのままの自分が「面白い」と思うモノにカメラを向けた。「希望」を探して無心で進んだ。結果、かつてステージ上に見上げたアーティストの叫びを目と鼻の先で受け止め、チェルノブイリ事故から25年がたった4月26日に広島の地を初めて踏み、政府から浜岡原発停止の要請が下りるその瞬間を福島からの避難家族と共に迎えることとなった。
この映画を見て“原発”を考えてほしい。だけど「原発反対」を押し付ける気は毛頭ない。僕自身、正解なんてわからない。それぞれがそれぞれの感性で感じ、柔軟なマインドで自由に考え、人と人の間に様々なコミュニケーションが生まれるきっかけになれればと思う。政治や報道ではない、映画の力がそこにあると僕は信じている。